Emergency Nursing(エマージェンシーナーシング)

救急外来で看護師をしています。 AHA-BLS/ACLSインストラクターとして活動中。得意分野は蘇生や急変対応の教育です。

DNAR指示のあり方とは?

DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)に対する勧告

 ここ数十年で厚生労働省や複数の学会から終末期医療に関するガイドラインが公表され、終末期医療に対する医療者の理解は深まりつつあります。しかし、DNAR指示に対する誤解をしている医療者がいるとして、日本集中治療医学会はウェブサイト上で『DNAR指示のあり方についての勧告 (2016/12/20)』を公表しました。看護師としてDNARに関する正しい知識を身につけることは重要ですので紹介します。

DNAR指示のあり方とは?

 DNARは本来、がんの末期などCPRの適応がない患者が尊厳を保ちながら死にゆく権利を守るために心停止時にCPRを行わないようにするための指示とされています。しかし、終末 期以外の患者に適応されることや、CPR以外の治療まで差し控えてしまうことが問題となっています

 今回の勧告では『DNAR指示は心停止時のみに有効であり、CPR以外の酸素投与や気管挿管、人工呼吸器、補助循環装置、血液浄化法、昇圧薬、抗菌薬、輸液、栄養、鎮痛・鎮静、ICU入室など、通常の医療・看護行為の不開始や差し控え、中止を自動的に行ってはならない』としました。例えば、がんで通院中、DNAR指示のある患者さんが数日前まで元気だったけど感染症から敗血症性ショックで入院した場合、「この患者さんDNARにだから」と自動的に治療や看護を中止することは、本来の考え方から大きくかけ離れているということになります。 

 

看護師としてどうするか?

 看護師として、DNARに関する正しい知識を身につけることが重要です。そうした上で、患者本人の意思決定に繋がるよう関わることや他職種との連携が図れるよう調整していくことが必要となります。また、看護師だけではなく、施設内で共通認識できるようプロトコールやマニュアルを整備していくことも重要ではないでしょ うか。

今回の勧告は集中治療医学会のウェブサイトから誰でも閲覧できます。詳細を知りたい方はぜひご覧ください。