ACLSEPコースを受けました
ACLS-EPコースを受講してきました。
ACLS-EPコースとは、ACLSコース修了者を対象に、心血管系、中毒、呼吸と代謝、ROSC後の4つのテーマに対して、症例ディスカッションを行うコースです。
テキストが高いんですけど・・・。
受講した感想は、「ACLSプロバイダー資格の更新には持ってこい」かな。
- 作者: American Heart Association,日本ACLS協会,日本循環器学会,バイオメディスインターナショナル
- 出版社/メーカー: シナジー
- 発売日: 2014/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
まず、EPコースを始める前に、ACLSの筆記試験、BLS、ACLSのテストがあります。
ここでACLSの復習ができる点、その後のEPコースでACLSのお作法以外のことを学べる点が素晴らしいです。
しかし、私にとっては、(前提条件として必要なのは承知で)前述した4つのテーマを学びたかったので、BLSや筆記試験、ACLSなどは不要だなぁと思いました。
しかし、このへんは2年毎の更新が義務付けられているアメリカでの背景によるものでしょう。
日本においては、ACLSのプロバイダー資格を失効するぐらいなら受講してみましょう。
さて、実際の内容についてです。
更新目的やACLSをより深く学習したいなら「あり」でしょう。
看護師として急変対応に強くなりたい、心停止前の対応を学びたいという受講目的ならPEARSをおすすめします。
理由としては、ACLS-EPコースにはACLSEPサーベイという体系的アプローチの方法があります。
A気道
B呼吸
C循環
D鑑別診断
ABCを評価し鑑別診断をH&Tで考えましょう、という具合で進んでいきますがABCはさらっとです。
院内のALSでリーダーをやらなければいけないDrにとってはH&Tの視点や治療を学べるのは良いのかも知れませんが、看護師として臨床で活かしたいという目的ならばアプローチ方法はPEARSです。
個人的見解ですが、看護師の世界では、残念ながらABCの観察・評価や安定化、再評価などの過程は一部の看護師を除いて浸透しているとは思えません。
ACLS-EPコースはABCの評価は出来ることが前提で進んでいきますので、それぞれのテーマに応じた対応方法をさくさくと学んでいくことになります。
その点、PEARSはABCDEアプローチを徹底して行なっていくので、思考過程を学習するには持ってこいです。
さて、EPコースに話を戻します。
EPコース良い所の一つはテキストが素晴らしいところでしょうか。
それぞれのテーマの事柄、エビデンスが非常に細かく書かれており、JRCの蘇生ガイドラインを読んでいるオタクな私としては非常に興味があります。
ただ、400ページ以上あるので、素晴らしいと言いつつ、全部読んでません…。
テキストを読み、コースを受講して、更にテキストを読み解き、その知識を院内に還元する、そしてテキストを・・・。
この繰り返しで学習は深まりそうです。
最後に、EPコースを受講しても、正直世界は変わりません。
しかし、テキストを読み解いていく過程や研修医、病棟教育などに活かしていく過程で、世界は変わるのかなぁと思います。
どんなコースにも共通して言えるのかもしれませんが、各々の動機に応じた、そんな最初の一歩の足がかりになるんだと思います。
まぁ、要は自分次第!(ちょっと雑にまとめてしまいました。)
看護師によるACLSの普及方法
皆さんの病院ではBLSやACLSの教育は普及していますか?
BLSは新人研修として取り込まれている病院が多いのではないでしょうか。
ACLSなど二次救命は病院によってムラがありそうです。
うちの病院でも、新人教育の中でBLS研修をやっていますが、その後、BLS講習を定期的に開催しているわけではないので、救急などCPAが来る部署じゃないと、スキルを保つのは難しいのかなと思います。
また、ICLSコースも定期的に開催しているので、救命講習に関してはある程度普及していると言えます。
もちろん私は院内のICLSコースにも参加しているわけですが、この度、ACLSインストラクターとして何ができるのか考えてみました。
まず、考えたのがこの3つ
①ACLSコースを院内、もしくは地域で開催したい。
②ACLS関連の知識を院内に還元する
③各病棟にALSのリンクナースを作って、病棟ごとの情報交換や病棟で知識やスキルの普及に務める
①に関しては。
うーん。
院内でICLSコースがとても安い金額で提供されている中、果たして受講生は居るのだろうか。
まぁ受講生は少なくてもいいか。
うーん。
でも、インストラクターが私しかいない。
ACLSの場合チーム蘇生も関わってくるので、受講生は少なくてもいいけど、人数がいないとシナリオが出来ない。
そもそも、まだディレクターじゃない。
このような結果からすぐにやるには現実的じゃないかなぁ。
次、②
これはできそう。
まずは自部署から勉強会、シミュレーションの提案をして開催していこうと思います。
次、③
ICLSを受講するスタッフの部署って偏りがあります。
インストラクターが居る部署だったり、受講してよかったから口コミでひろがったり。
また、ICLSインストラクターにも偏りがある現状ではこれを推奨したい。
各病棟にリンクナースがいることで、情報共有だったり、部署ごとの課題もみえてくるかもしれない。
でも、看護部の了承や協力がないとできないか。
病院というのはどこもそうなのかもしれませんが、診療報酬加算(トリアージ加算など)や機能評価に関する項目だったりすると、準備も知識が十分でなくても開始するのに、そうじゃないと中々、動かないよね。
(機能評価の中に蘇生教育や急変教育などの項目があった気はしますが)
とりあえず、ICLSスタッフに相談してみよう。
最後に、うちの病院はICLSも軌道に乗っていて、初期に普及に尽力された方の苦労は大変だったんだろうなと思います。
ある程度ACLSが普及している中で、今回は何ができるか考えてみました。
どんなことでも、初めるときは、賛同者、反対者がつきものです。
少数でもいいから賛同者を作って、取り込んでいく。
ICLSと平行して自分の部署からACLS教育を始めてみようと思います。
もちろん最終的には、心停止を防ぐ教育に力を注いていくつもりです。
PEARSプロバイダーコースを受講してきました
こんばんは。
前から興味があった、PEARSプロバイダーコースを受講してきました。
Pears Provider Manual: Pediatric Emergency Assessment, Recognition and Stabilization
- 作者: AHA
- 出版社/メーカー: American Heart Association
- 発売日: 2012/06/01
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
PEARSってなに?っていう方に簡単に紹介です。
以下、日本PALS協会より抜粋です。
小児を題材とした、人の緊急事態に対応するためのアセスメントと救命処置(非心停止対応を含む)を身につける1日コースです。
PEARS(ペアーズ)は、Pediatric Emergency Assessment, Recognition, and Stabilization の略です。直訳すると「小児急変対応- 評価・認識・安定化」プログラムです。
PALSプロバイダーコースで学ぶ、生命危機状態に気づき、観察・評価して、介入を考える部分が、コンパクトにまとまっています。心停止だけではなく、呼吸障害、ショック(循環障害)など、心停止につながる危機的状況を評価し、その場でできる適切な介入をしつつ、医師への診療をつなげる。そんなプロセス・思考パターンを身に付けるため、映像教材を用いたディスカッション、シミュレーション・トレーニング・トレーニングをしていきます。
ということみたいです。
受講動機としては、
乳児・小児のBLSを学びたいこと
急変前の観察・評価・介入方法などの思考パターンを学びたいこと
学んだことを院内に還元したいこと
ゆくゆくは急変を防ぐ思考プロセスや行動を院外も含めた全看護師を対象として普及させてみたい
などから受講しました。
受講の感想としては、映像が実際の患児を使っておりリアルで、机上での思考を整理するには素晴らしいと感じました。
そして、思考を整理した後には、マネキンを使ってのシミュレーションで行動化してみることで、更に学習を深めることができます。
私と一緒に受講していた人が
「実践的でもっと早くにやりたかった。看護学校でもこういうことやればいいのに。」
といってました。
全くそのとおりだと思います。
看護ケアや日常生活の援助など看護の独自性を追求する傾向(もちろん大切ですが)
フィジカルアセスメントも学生同士や実際の人形を用いていても、系統だってないので臨床であまり使えない。
実際にPEARSの中で行なった、
CPAに至る呼吸、循環の障害というシンプルな流れ
ABCDEアプローチ
ACDAサイクル(今は違う?)
これらのどれも、看護学校で習った記憶はありませんが、どれも臨床における看護師には必要な知識・技術だと思いました。
小児の経験がほぼない私でもなんとかなりました。
そして、学んだ知識は成人に置き換えることもできます。
是非、PEARSを多くの人に受講してもらいたいと思います。
余談ですが、久々の受講生としてのコース参加は緊張しました。
私は、子どもが居るにも関わらず、乳児・小児のBLSはよくわかりませんでした。
その知識不足を抱えた中での不安からコースでやっていけるのかな?という心理が緊張に繋がったんだと思います。
その結果、乳児・小児のBLSテストが終わった瞬間緊張から開放されました(笑)
コース受講者の気持ちを改めて実感したので、今後、インストラクターとして参加するときは、アイスブレイクの実施、受講者にコースにおいて失敗してもよいということを伝えていきたいなと思います。
病院内でのBLS・ACLSの普及方法を少し書きたかったんですが、ボリュームが増えそうなので、また次回に。